「制御系」と「組み込み系」の違い|各エンジニアの違いも徹底解説!
これからエンジニアを目指すという方や初心者の方にとって違いが分かりにくいとされているのが、「制御系」と「組み込み系」という2つのシステムです。
今回はまだ2つの違いが詳しく分からないという方に向けて、ざっくりとした概要、またシステムそのものの細かな違いからそれぞれのエンジニアの仕事の違いまで、詳しくご紹介したいと思います。
目次
1. 制御系(制御システム)とは?
まず制御系とはシステムの分類のひとつで、機器の動きを制御する働きをもつシステム(制御システム)のことを呼びます。
例えば、自動車の動きを制御する自動運転システムといったものや、自動運転までいかなくともスピードやハンドリングなど制御しながら動かすための仕組みですね。
他にも身近なものでは、電子レンジのあたための指定された時間数だけ行うように制御しているシステムなども同様でしょう。
ユーザーの安全性や利便性を高めるために、機器のそれぞれの機能をコントロールするシステムが「制御系」になります。
2. 組み込み系(組み込みシステム)とは?
組み込み系は、家電や電子機器など、独立した機械の中に組み込まれたシステム(組み込みシステム)のことを指す言葉です。
炊飯器や洗濯機などの身近な家電からスマートフォンやパソコン、デジタルカメラや自動車まで、様々な電気製品はどれも組み込まれたシステムによって動作しています。
例えば炊飯器や洗濯機にはマイコンと呼ばれる小さなコンピュータが搭載されており、このマイコンに組み込まれた「ご飯を炊くためのプログラム」や「洗濯槽を回転させるプログラム」といったシステムによって炊飯や洗濯といった機能を提供しているということですね。
こういった機器を動作させるために組み込まれたシステムを、「組み込み系」と呼んでいます。
3. 制御系と組み込み系の主な違い
制御系と組み込み系の違いをざっくり説明すると、上であげたように制御系は「機器の動作を制御してコントロールするためのシステム」であり、組み込み系は「機器を動作させるために組み込むシステム」であるということです。
何かを「制御する」か、何かに「組み込む」かの違いであるということですが、制御システムの中には、家電など何かに組み込まれてかつ制御のために動作するものもあります。
そういった場合には「制御系」でありながら「組み込む系」であるとも言えますので、完全に別の物で関連性がないということではなく、どちらの分類にも属するシステムもあれば、どちらかの要素しか持たないシステムもあるということですね。
4. 制御エンジニアと組み込みエンジニアの違いは?
制御系のシステムと組み込み系のシステムはそれぞれ担う役割が違うということはこれまでご説明しました。
そのため、それぞれを扱う「制御エンジニア」と「組み込みエンジニア」に関しても、その仕事内容などに違いがあります。
4-1. 仕事内容
まず制御エンジニアの主な仕事内容は、機器を制御するためのシステムを開発・導入することです。
クライアントからの要望を叶えるための要件を定義し、設計・開発に移ります。
開発できた制御系システムをテストし、問題がなければ実際に納品して導入に移ります。
導入に際したサポートや保守業務を担うこともありますね。
組み込みエンジニアの仕事内容も、開発するのが機器に組み込むためのシステムであるということ以外、仕事の流れなどは制御系や他のエンジニア業務と同様です。
クライアントの必要とするシステムを企画・設計し、実際の開発からテスト、導入後の運用保守までを担うことになります。
ただ、システムによっては多くの製品に搭載されることになるためシステム自体をローコストでコンパクトにすることが求められます。
それによって、搭載される製品の製造コストが変わってくるためですね。
4-2. 平均年収
制御エンジニアの平均年収は、約500万円ほどと言われています。
経験やスキルによってももちろん幅がありますが、若手で400万円前後とエンジニアの中では比較的高水準と言えるでしょう。
高いスキルを持ちフリーランスの制御系エンジニアとして活躍する人の中には、700万〜1000万円、さらには1000万円を超える収入を得ているエンジニアもいます。
組み込みエンジニアの平均年収も、約450万〜600万円程度と、制御エンジニアと同様にエンジニアの中では比較的高くなっています。
こちらも実務経験はもちろん使用する言語などによっても大きく変わるもので、特にフリーランスではスキルやプロジェクトのリーダー的な役割を担うことで年収1000万円に達することもあります。
4-3. 求められるスキル
制御エンジニアの仕事には、JavaやC言語などといったシステムを開発するためのプログラミング言語が必要になります。
また、特にハードウェアやOSの機能の理解といった、ITの基礎知識も求められますね。
制御系の中には機器に組み込むものもあるため、組込みスキル標準(ETSS)と呼ばれる組み込みソフトウェア開発のためのスキル体系・フレームワークもあると良いでしょう。
知識や技術だけでなく、コンピュータにプログラミングによる指示を与える制御エンジニアには論理的な思考力や、クライアントやチームのメンバーと円滑にコミュニケーションを取り、開発を進めるためのコミュニケーション能力も重要です。
組み込みエンジニアにも、基礎としてシステム開発に用いられるC言語系やJava、アセンブリ言語といったプログラミング言語や、OSの知識が求められます。
ハードウェアを直接操作することもあるため、ハードウェアの知識やスキルも重要ですね。
組み込みエンジニアも開発を円滑に進めるためのコミュニケーション能力や論理的な思考力は必要になりますが、合わせて英語のスキルも求められることがあります。
組み込みシステムに用いる部品には、海外から取り寄せているものが多くあります。
そのため仕様書は英語で書かれており、また組み込みエンジニアのための技術書も英語のものが多いため、部品や技術を理解するために英語のスキルが必要になります。
4-4. 役立つ資格
制御エンジニア・組み込みエンジニア両方におすすめできる資格が、ETEC(組み込み技術者試験制度)です。
一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が運営しており、設計開発などの組み込みシステムに必要な工程から分析能力など、組み込みシステムに関する内容を問われる2段階のレベルに分かれた試験になります。
組み込みエンジニア向けのものですが、組み込みシステムを扱うこともある制御エンジニアにとってもスキルを証明できる資格になりますね。
他にも、組み込みシステムやセキュリティに関する資格であるエンベデッドシステムスペシャリスト試験などもおすすめです。
資格は転職やフリーランスの案件獲得にも有利になりますので、ぜひ取得を目指しましょう。
まとめ
今回の記事では、「制御系」と「組み込み系」に関してそれぞれのシステムの違いやそれぞれに携わるエンジニアの仕事の違いなど、詳しくご紹介しました。
違いの分かりにくい2つでしたが、家電などのシステムもこれらに分類されるシステムが多くあり、身近なものであることが分かります。
この記事で制御エンジニアや組み込みエンジニアに興味が出たという方は、転職へ向けて資格取得などから目指してみてはいかがでしょうか。