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データサイエンティストとは?仕事内容から必要なスキル・目指す方法まで徹底解説!

情報処理技術やAIの発達、ひいては生活にも身近なスマートフォンの普及などにより、情報データが膨大になった現代において、データを有効に活用できる人材の重要性は高まっています。

そんな中で注目されているのが、データを分析しビジネスに役立てるデータサイエンティストと呼ばれる職種です。

今回の記事では、そんなデータサイエンティストについて、その仕事内容や必要なスキル、また目指す方法まで、詳しくご紹介していきます。

データサイエンティストとは?

そもそもデータサイエンスとは、膨大なデータ群であるビッグデータをアルゴリズムや統計など科学的な理論を利用して分析、解析し、有益な情報を引き出すことを言います。

データサイエンティストは、そんなデータサイエンスを利用して企業などのビジネスをより良くするために活用する職種です。

元々、データサイエンスという言葉が注目され始めた2010年代以前にもデータの収集業務や分析業務は行われていました。

しかしスマートフォンやSNSなど様々なものの普及とともにデジタルデータは爆発的に増え、その価値が高まっていきました

そのため、膨大なデータを分析・活用する必要性と大きなメリットが期待され、それらを行うプロフェッショナルとしてデータサイエンティストが登場したのです。

データサイエンティストが誕生した背景

前述したように、データの収集や分析といった業務は以前から存在しています。

しかし、リサーチャーや統計担当者として各部署の担当者が行っており、現在と比べると高い技術を要さない分析となっていました。

そこからスマートフォンやSNSの普及を始めとしたITの発達によりデータは多様化し、膨大なものとなります。

それに伴って、データ分析に要求される技術も高度なものとなっていき、相互的にデータの活用や解析技術も発達していきます

膨大なデータを解析できるようになり、さらにそれをビジネスに活用することも非常に重要となったために、データサイエンスを専門的に行うデータサイエンティストと呼ばれる職業の誕生へと至ったのです。

データアナリスト・AIエンジニアとの違い

ビッグデータやAIを扱うためにデータサイエンティストと混同されやすいのが、データアナリストAIエンジニアです。

Web上のデータの収集・分析を主な仕事とするデータアナリストとは、担当する領域がその違いと言えるでしょう。

データの収集と分析に特化したデータアナリストと比べて、データサイエンティストはさらに広い領域のデータから企業の課題を洗い出し、分析したデータから予測と課題の解決方の立案までを行います。

AIエンジニアとの違いは、AIを作るか使うかということです。

AIそのもののシステムを開発するAIエンジニアに対し、データサイエンティストはAIをデータ分析に利用するということですね。

データサイエンティストの仕事内容

それでは、データサイエンティストは具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。

データサイエンティストの仕事は多岐にわたり、データサイエンスの知識・スキルを必要とするような、データに関する幅広い内容を任されています。

中でも基本的な業務とされている3つの業務を、業務の流れに沿ってご紹介します。

データの収集・整理

まずは、必要なデータを収集・整理することです。

データ分析をプロジェクトとして行う場合には、企業の経営戦略の意思決定や課題解決のために情報を得ることが大きな目的となります。

そのために必要なデータを、すでに持っている企業のビッグデータから抽出したり、Webなどからデータを収集したりして、扱いやすいようその形式や単位などを合わせて整理した状態でデータベースに格納します。

どんなデータが必要になるのか、どのような形で整理するのかという設計の部分も同時に担うことになりますね。

データの分析・課題抽出

データが収集できたら、いよいよ分析に移ります。

あらかじめ「課題抽出」の段階で、企業などのビジネスの上でのより細かな課題と目標を明確にしておき、その解決へとつなげられるようなデータを見つけ出す作業となります。

ソフトウェアや機械学習技術などその時々にあったツールを利用して、膨大なデータの分析や取捨選択を行います。

この収集や分析のみに重きを置いた人材を、前述したようにデータアナリストと呼ぶ場合もあります。

レポート作成・課題解決

課題解決のために企業に必要なのは、データそのものではなく、データを分析した結果得られる新たな情報や評価です。

そのため、データサイエンティストはデータを分析し、その結果と結果から得られた新たな知見をグラフなどを用いたレポートとして分かりやすくまとめ提出・報告するのが重要な業務のひとつです。

課題解決のために、データに基づいて改善策や今後の方向性など企業経営に関わる提案を行うこともあるでしょう。

ここに行き着くまでには、抽出された課題を明確に理解していることや、データの分析能力、必要なツールの理解、業務知識など様々な能力が問われます。

データサイエンティストの魅力

前章でご紹介したようにデータ分析により企業の課題解決を目指すデータサイエンティストの仕事には、様々な魅力があります。

高収入を得やすい

まずは、企業の戦略にもかかわる重要性と必要なスキルの専門性から、給与が比較的高い傾向にあり、高収入を得やすいということです。

具体的な年収に関しては、次章で詳しくご紹介していきますので興味のある方はそちらをご覧ください。

活躍の場が広い

膨大なデータがあふれる現代ではデータの活用はあらゆる分野において欠かせないものとなっており、データ分析・機械学習など先進的で汎用性の高いスキルを持つデータサイエンティストは、様々な業界や案件で活躍できるでしょう。

例えば医療業界や教育、金融業界など、IT業界にとどまらず活躍の場を広げることができます

フリーランスや転職を目指しやすい

データサイエンティストは注目を集める職種ながら、需要の高さに対してまだまだ高いスキルを持つ人材は不足していると言われています。

案件や求人も豊富であるため、経験と知識をもつデータサイエンティストはフリーランスとして独立することや、転職を目指す上でも有利だと言えるでしょう。

もちろん高いスキルは必要になりますが、データサイエンティストとしてプロジェクトを管理する立場や、AIを専門とするAIエンジニアへの転職など、キャリアパスも豊富にあります。

データサイエンティストの平均年収

データサイエンティストの平均年収は、約600〜800万円程度とされています。

しかし、この数字はあくまで平均であり、高いスキルを持つ人では1,000万円を超える収入を得ている人もいるなど、スキルや経験によっても大きく幅があるでしょう。

また、データサイエンティストの需要は海外においても高く、例えばアメリカでも、システムエンジニアの平均が約100ドルとされているのに対し、データサイエンティストの平均年収は約120ドルほどだと言われています。
国内においてももちろん海外においても、高い収入を得るためにはより専門的な高いデータ分析スキルや、豊富な実績が必要となるため、高収入を目指す方は幅広い案件の経験を積むことができると良いですね。

データサイエンティストに求められるスキル

データサイエンティストには、様々なスキルが求められます。

例えば基礎として、データを検証するために必要な知識など、データサイエンスのスキルが求められます。

また、課題を抽出して理解できるヒアリングや最終的な問題解決のための提案がスムーズにできるコミュニケーションスキルなども大切になってきますね。

他にも、データサイエンティストとして活躍するためには以下のようなスキルが必要になるでしょう。

データ分析スキル

データの分析・収集には、そのケースに合わせた様々なソフトウェアやツールを利用することになります。

そのため、例えばデータを高速処理するためのツールやデータを整理・格納するデータベースを操作するためのSQL言語、AIや機械学習の知識など、ツールを使いこなすためのスキルが幅広く必要になるでしょう。

数学や統計の知識

データ分析を行うために欠かせないのが、数学的手法や統計学の知識です。

データの関係性を発見し仮説を立てたりと、数学的な手法で論理的にデータを分析することで後の課題解決に活かすため、情報を処理する能力や数学的思考が得意だという方は特に向いているかもしれません。

人工知能(AI)・機械学習に関するスキル

膨大なデータを分析処理する際、効率化のためにツールとして使われるのがAIです。

そのため、AIや機械学習に関する知識もデータサイエンティストには必須だとされています。

機械学習の基礎となる知識やAIを採用した学習モデルを利用するための知識が必要になりますね。
AIや機械学習に用いられるプログラミング言語であるPythonは、データサイエンティストの使用言語としてメインとなってくるでしょう。

コンサルティングスキル

データ分析から得たものをもとに、企業に課題解決のためのコンサルティングを行うのも大事な業務のひとつです。

その企業の問題点や競合企業の傾向などを正確に理解し、発展のための改善策をより分かりやすく説明して納得してもらうため、問題解決能力コンサルティングのスキルが求められます。

ビジネススキル

より良い企業の発展のために何が必要かを見極めなければならないデータサイエンティストの業務には、データ分析技術だけでなく、ビジネスの知識もなければいけません。

IT知識だけに留まらず、幅広い分野の知識とビジネス戦略を理解し、様々な角度から論理的な思考で問題解決に向かえるビジネススキルがあると、より良いデータサイエンティストとして活躍できるでしょう。

データサイエンティストの需要・将来性

ビッグデータの成長とともにAI・人工知能も著しい進化を遂げている現代で、AIの発展に欠かせない技術であるディープラーニングを扱えるデータサイエンティストの需要は今後も増加していくことが考えられます

特に日本ではアメリカなどと比べると顕著にAI人材が不足している上、データサイエンティストは育成にも時間がかかるため、しばらくは需要に供給が追いつくこともなく、将来性の高い職業だと言えるでしょう。

現在は日本でもデータサイエンスを学べる大学なども出てきていることからもその注目度の高さが伺えますね。

また、データの解析などにもAIが使用されるため、データサイエンティストの業務はAIに代替されていくのではないか、との声もあります。

しかし、情報からの予測や計算処理などの領域はパフォーマンスの高いAIが利用されるかもしれませんが、解析されたデータのどこに価値を置き、どのようにそのデータをビジネスに還元するかを話し合い、実行するためにデータサイエンティストの能力は必要不可欠です。

AIを情報処理のためのパートナーとして有効に活用し、分析したデータをより良い改善に向けて利用できる人材は、さらなる需要が見込めます。

データサイエンティストにおすすめの資格

データサイエンティストになるために必要な資格などはありませんが、様々な知識の求められる職種です。

これから目指す方やさらに活躍の場を広げたいという方は、知識の学習やスキルの証明のためにも資格をとっておくとよいかもしれません。

具体的にデータサイエンティストにおすすめの資格には、以下のようなものがあります。

データサイエンティスト検定

データサイエンティスト検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会が実施している民間資格です。

2021年4月に開始したばかりで、現在は協会がデータサイエンティストに必要な知識・スキルを4段階に分けたリストのうち、見習いレベルのアシスタント・データサイエンティストの範囲の知識が問われるリテラシーレベルのみの試験になっています。

基礎的な知識が問われるので、興味を持ち始めたばかりの人に特におすすめの資格です。

情報処理技術者試験

こちらは、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格です。

基本情報技術者試験応用情報技術者試験の2つのレベルに分けられています。

システムやソフトウェアの設計開発からセキュリティ、基礎的なプログラミング言語についてなどITの基礎知識が幅広く問われます

スキルアップを目指す方は、経営戦略やマネジメントの知識までを必要とする応用情報技術者の取得を目指すとさらなる活躍が見込めますね。

データベーススペシャリスト試験

情報技術者試験と同じく、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格のひとつです。

データベースの企画開発から運用保守に至るまで、データを扱うデータサイエンティストに必須なデータベースに関する専門的な知識が問われるものです。

合格率20%以下とデータベース関連の資格の中でも最難関と言われる試験ですので、受験には十分な対策をして臨みましょう。

データサイエンティストに向いている人の特徴

様々な職種には、その業務の特徴から向き不向きも存在します。

もちろん向いている特徴に当てはまらないからといって目指すことができないわけではありませんが、向いている人はより学習しやすくなったり、モチベーションが保ちやすいといったことがあるでしょう。

データサイエンティストに向いているのは、次のような特徴を持つ人です。

数学的な考え方ができる
コミュニケーション能力がある
課題解決能力がある

必要なスキルの章でもご紹介したように、データ分析では数学的・論理的な考え方をもって課題を解決することが求められます。

そのため、もともと数学的な考え方が得意である・統計学に興味がある方はスキルを身に着けるうえでも学習しやすいかもしれません。

また、データサイエンティストでは企業の課題をしっかりと理解すること、そしてそれを解決するために役立つ分析結果を相手に分かりやすくプレゼンすることが重要です。

そのため、ヒアリング能力や専門知識のない相手に対しても分かりやすく伝えられる能力など、高いコミュニケーション能力も求められるため、「話す」だけでなく、「相手の話を理解する」といったコミュニケーションが得意だという人も向いていると言えるでしょう。

データサイエンティストを目指すには?

ここまで、データサイエンティストについて様々な情報をご紹介してきました。

では、実際にデータサイエンティストとして働くにはどうすればよいのでしょうか。

データサイエンティストになるための方法を、他のエンジニア職から転職する場合とエンジニア未経験の場合の2つのケースに分けて見ていきましょう。

エンジニア経験者が目指す方法

まず、エンジニア経験者が他のエンジニア職からの転職を目指す場合です。

高い知識が求められるため転職においても実務経験者が求められることもあるデータサイエンティストですが、中にはスキルさえあれば、エンジニアとしての開発経験だけでも応募できる求人もあります。

実務未経験でももちろんスキルは必要とされますので、データ分析やコンサルティングなど、データサイエンティストの業務に求められるスキルをできるだけ身につけてから転職を目指しましょう。

AIなどの分野に携わりPythonでの開発経験がある方や、ビジネススキルが高く企業へのビジネス提案が行える方などは、より採用に有利になるでしょう。

また、一度データエンジニアとしてデータベースなどに携わったり、データ分析を専門とするデータアナリストとして経験を得てからさらにデータサイエンティストを目指すという方法も効果的です。

未経験から目指す方法

IT系やエンジニア職種の経験が無い完全な未経験からデータサイエンティストを目指す場合には、まず必要な基礎知識を学ぶところから始めましょう。

基礎的なIT知識はもちろん、Pythonなどプログラミング言語の習得やデータの分析・統計などの基礎的なスキルを身に着けることが必須になります。

未経験でデータサイエンティストとしての入社を目指すのはハードルが高いため、前述したように他のエンジニア職種や、まずデータエンジニア・データアナリストを目指すのがおすすめですね。

また、上で紹介したようなデータサイエンティスト向けの資格取得を目指すと、学習のモチベーション維持のためにも転職などの際にスキルをアピールするためにも役立つでしょう。

できれば実務的にそのスキルを活かした実績があればより企業への採用に近づきますので、ある程度スキルと経験を得ることができたらデータサイエンティスト向けのコンペなどに参加するのもおすすめです。

データサイエンティストに関するよくある質問

クエスチョン
データサイエンティストの仕事内容は?
アンサー

データサイエンティストは、ビッグデータなどのデータを分析・解析し、企業経営に役立つ情報や新たな知見を発見して企業の課題解決を目指すというのが主な仕事内容です。


クエスチョン
データサイエンティストの平均年収は?
アンサー

データサイエンティストの平均年収は、約600〜800万円程度です。あくまで平均であり、1,000万円を超える収入を得ている人もいるなど、スキルや経験によっても大きく幅があります。


クエスチョン
データサイエンティストに向いているのはどんな人?
アンサー

データサイエンティストに向いているのは、「数学的思考が得意」「コミュニケーション能力が高い」「論理的に思考でき、問題解決能力が高い」といった特徴を持つ人です。


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