GCPとAWSの違いは?どっちが良い?比較してわかるそれぞれの役割
GCPとAWSは世界的に有名なクラウドサービスですが、これらのサービスがどう違うのかよくわからないという方は意外と多いようです。
そこで今回は、GCPとAWSのメリットとデメリット、それぞれの役割、比較して見えた違いなどをご紹介します。GCPとAWSについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
GCP (Google Cloud Platform)とは?
GCP(Google Cloud Platform)は、Googleによって運営されているクラウドサービスです。
Google社内で使われていたシステムと同じテクノロジーを使って運営されているため、Googleの検索プラットフォームなどを個人開発者や一般企業でもパブリッククラウドサービスとして使うことができます。
そのほかにもデータ解析や機械学習分野などのサービスが充実していることや、インフラ環境が安定していること、Google独自のネットワーク機器によるスピードの速さなど、Googleが提供しているからこそ叶えられる特徴があります。
従量課金制をとっているため、使った分だけ支払えば良いというのもうれしいポイントですね。
AWS (Amazon Web Services)とは?
AWS(Amazon Web Service)は、Amazon社が提供するクラウドコンピューティングサービスです。
2006年にスタートしたAWSは、現在月間100万人以上のアクティブカスタマーが利用している世界的に人気のサービスです。
国内の調査でも、2022年6月時点でPaaS/IaaS利用者のおよそ60%がAWSを利用しているとされています。
200を超えるサービスが従量課金制で利用でき、利用内容に合わせて容量を自動で調整してくれるため、閑散期には費用を抑えるといったことも可能です。
セキュリティ水準が高くサポートも充実しているので、安心して利用できますね。
MM総研「国内クラウドサービス需要動向調査」(2022年6月時点)
【項目別】GCPとAWSの具体的な違い
従量課金制や様々なサービスがあることなどGCPとAWSには共通点もあり、どちらも著名なクラウドサービスであるため混同されることもあります。
2つの詳しい違いが判らず、どちらが良いのか迷っている、という方も多いのではないでしょうか。
ここからは、GCPとAWSには具体的にどのような違いがあるのか詳しくご紹介していきます。
主要サービス
まずは、提供されているサービスの違いです。
GCPで提供されている主なサービスは、下記の通りです。
- BigQuery
大量のデータを高速で解析することが可能なデータウェアハウスです。
BigQuery DTSにより、Googleが提供するサービスからのデータ移行や、Google Cloud内の機械学習サービスとの連携が容易になっています。 - Compute Engine
LinuxやWindowsのサーバーを立ち上げることができる仮想マシンです。
CPUのコア数やメモリを調整することも可能なカスタムマシンタイプですが、そのままの使用では24時間使用すると終了します。 - Google Cloud Storage
容量の制限無く、自動的にバックアップを生成してくれるストレージサービスです。
Multi-RegionalStorage、RegionalStorage、Nearline Storage、Coldline Storageという4種類のストレージクラスがあり、それぞれ価格が異なります。 - Cloud SQL/Spanner
MySQLやPostgreSQLなどを立ち上げるサービス(SQL)と、拡張性の高いリレーショナルデータベースサービス(Spanner)です。 簡単に起動や終了ができ、データベースに関わる工数を削減することができます。
対して、AWSでは下記のサービスが提供されています。
- Amazon Redshift
Amazon Redshiftは、GCPで言うBigQueryにあたるデータの蓄積・高速分析処理を行えるサービスです。
様々なソースからのデータ移行が可能で、他にも複数のAWSサービスとの連携ができます。 - Amazon EC2
AWS上にLinuxやWindowsの仮想サーバを自由に構築できるサービスです。
GCPのCompute Engineと同様の役割を果たすサービスですね。
多様なマシンタイプで、柔軟にメモリなどを変更することができます。 - Amazon S3
容量を気にせず安全にデータを格納できるストレージサービスです。
8つのストレージクラスがあり、暗号化の有無が選択可能など多様な使い方ができます。
GCPのGoogle Cloud Storageにあたるサービスです。 - Amazon RDS
GCPで言うCloud SQL/Spannerのようなリレーショナルデータベースサービスです。
My SQLなど広く利用されている6種類のRDBMSから選択することができ、オンプレミスで使っているものをそのままAWS環境へ移行することも可能です。
メリット
次に、それぞれのメリットを比較してみましょう。
まず、GCPには以下のようなメリットがあります。
- パフォーマンスが高速で安定している
Google独自開発の環境を利用しており、ネットワークのスピードが速く、安定しています。 - 設計がシンプルで運用コストが低い
従量課金制であり、サービスの種類がAWSと比べて少ないため全体的にサービスの価格も安くなっているためコストが低く済みます。シンプルな設計のため、無駄な要件にコストがかかることもないでしょう。 - データ分析・機械学習分野に強い
BigQueryをはじめとして、ビッグデータ解析や機械学習などの先端分野のサービスが充実しているというのもメリットです。 - 安心できるセキュリティ
第三者認証の「FIPS 140-2」を取得しており、高度なセキュリティを保持しています。
対して、AWSのメリットは次のようなものです。
- セキュリティが堅牢である
グローバル認証規格やデータセキュリティ基準など複数の認証を取得しており、手間なく堅牢なセキュリティでサービスを利用できます。 - サービスの種類が豊富
豊富なサービスがあるため、幅広い用途で柔軟に利用できるでしょう。 - 世界各国に多くのリージョンがある
多くのリージョンがあるため、各国のデータセンターを利用してすぐにグローバル展開ができます。 - 実績があるため安心できる
10年以上の実績があり、継続的にアップデートが行われているため安心して使用できます。商用ライセンスが広くサポートに対応しているのも魅力です。
デメリット
2つのクラウドサービスには、それぞれメリットがある反面デメリットも存在します。
まずは、GCPのデメリットです。
- 日本語の情報が少ない
基本的に英語で提供されており、日本語の公式ドキュメントや記事もAWSと比較すると少ないため、英語が苦手な方にとってはハードルが高くなってしまうかもしれません。 - リージョンが少ない
AWSと比べてリージョンが少ないため、グローバル展開したい場合や障害発生時などに対応が難しくなってしまいます。
対して、AWSのデメリットには次のようなものがあります。
- サービスが多い分複雑になってしまう
サービスが豊富なのは魅力でもありますが、その分システムが複雑化しやすく、管理や運用が難しくなってしまうことがあります。 - 料金が管理しにくい
従量課金制で無駄なコストは避けられますが、逆に費用が変動しやすく、サービスが管理できないと高額になってしまいます。
GCPとAWSはどっちが良い?それぞれのおすすめのケース
最後に、GCPとAWSそれぞれの違いや役割を見ていきましょう。
簡単に言うと、シンプルで低コストを目指すならGCP、信頼性・堅牢性を求めるならAWSとなります。
- シンプルで低コストのシステムならGCP
GCPの権限管理はAWSと比較してシンプルで理解しやすいのが特徴です。そのため、シンプルで低コストのシステム運用を目指すならGCPが向いているでしょう。
しかし、GCPは複雑な権限管理ができないため、セキュリティ要件をあらかじめチェックしておくなど、管理者がポリシーの定義を設計しておくことが大切です。 - 信頼性・堅牢性を求めるならAWS
AWSは、豊富なメニューで柔軟性が高く、機能を理解して作りこむと運用も管理も簡単になります。また、AWSは構成やセキュリティ面も柔軟にカスタマイズできるので、信頼性や堅牢性を求めるならAWSが向いているでしょう。
しかし、AWSは必要以上に複雑に設定しすぎないよう注意が必要です。
GCPは、機械学習やデータ分析のシステムが充実している点や、コスト面ではAWSよりも優れている点が特徴です。
しかし、AWSは俊敏性や日本国内における利用のしやすさ、システムの多様性や柔軟性においては、GCPよりも優れています。
これらの違いをしっかり理解し、目的に合わせて使い分けることが大切です。
まとめ
GCPとAWSそれぞれの違いや、メリットとデメリット、比べてみてわかったことなどを理解することはできましたか?
簡単に言うと、GCPはシンプルで低コストの運用を行う場合に、AWSは信頼性や堅牢性に重きを置きたい場合といったように、GCPとAWSにはそれぞれの適性や役割があります。
どちらが優れているとは一概には言えませんが、こちらの記事を参考に、目的を考えどちらが適しているのかを検討して利用することが大切です。