AWSエンジニアとは?仕事内容・必要な資格とスキル・キャリアパスも

IT業界の第一線として活躍をしているエンジニアですが、エンジニアと言っても担当している業務の範囲はさまざまです。
システムエンジニアを始めとしてインフラエンジニアやフロントエンドエンジニアなど数多くの種類があります。
その中でも、近年注目が集まっているのが「AWSエンジニア」と呼ばれるエンジニアです。
IT化が加速する中で需要が高まり続けているAWSエンジニアとは、一体どのようなエンジニアなのでしょうか。
そこで今回は、AWSエンジニアとは何か、AWSエンジニアになるために必要な資格などを詳しくご紹介します。
AWSエンジニアに興味があるという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
AWSエンジニアとは?
AWSとは「Amazon Web Service」の略称で、Amazon社から2006年にリリースされたシステムのインフラ環境をクライアントに対して貸し出しを行うクラウドコンピューティングのWebサービスです。
クラウドコンピューティングサービスとは、サーバーやストレージ、データベースなどのインターネット上で提供されているコンピューティングリソースをサービスとして提供されているものを指します。
AWSは誰もが知っているAmazon社が提供していることもあり、Amazon社のセキュリティを利用可能である点や、強力なインフラ設計がされている点、必要なリソースが準備しやすい点から人気が集まっているようです。
クラウドサービスを導入している企業は増加傾向にあり、世界的なシェアを誇っているAWSの導入はさらに拡大を続けています。
そのため、AWSのサービスを扱っているAWSエンジニアは、近年ますます注目され、需要が高まっているのです。
AWSエンジニアの仕事内容
AWSによって提供される様々なサービスを活用する技術者であるAWSエンジニアの仕事は多岐にわたります。
クラウド上とはいえ企業のITインフラ構築が主となるその仕事内容の共通点から、企業によってはAWS専門のエンジニアといったわけではなく、AWSに関する知識に長けたネットワークエンジニアやインフラエンジニアが業務を担うこともあるようです。
そんなAWSエンジニアの業務の中でも、代表的な業務とされる3つをご紹介します。
AWS環境のサーバー設計
まずは、AWS上の開発環境の設計です。
プロジェクトや利用環境に合わせ、AWSで提供されているサービスを用いたシステムの設計を行います。
既にオンプレミスの環境を持っている企業の移行などであれば、既存のオンプレ環境との連携にも注意しながらの設計が必要になります。
通常とは異なるクラウドサービスを利用しての開発ですので、クラウドの利点や特性を理解してこの段階で最適な設計を行うことが重要ですね。
AmazonではAWSの設計ガイドも公開されていますので、AWSについての学習中や業務に不安がある際は活用するとよいかもしれません。
AWS環境のインフラ構築
次に、設計に基づいて実際に環境の構築を行います。
仮想サーバーやネットワーク、データベース、ストレージ、セキュリティなど、AWSの100を超える様々なサービスを適切に組み合わせ、必要なインフラを構築していきます。
構築したシステムに問題がないか、性能や障害などのテストをすることもAWSエンジニアの業務のひとつです。
保守運用作業
実際のシステムの運用、またそのシステムがクラウド上で安定して稼働するための保守業務もAWSエンジニアの仕事です。
オンプレミスと同様、トラブルや障害時の対応、メンテナンスなどを行います。自動化のスクリプトを書いたりすることもありますね。
また、新しいサービスが続々と提供されるAWSの機能の中から企業に必要なものをその都度選択し、効率的な業務に向けて最適な環境を整えるために改善を続けることも大事な業務です。
CPUの故障など、ハードウェアの障害にはユーザー側が対処する必要がないことは、オンプレミスと違ったクラウドの利点かもしれません。
このように、AWSエンジニアの仕事は、クラウド上のインフラ構築の広範囲にわたります。
幅広い業務に対応できるよう、様々なスキルを身につけておくことが大切ですね。
AWSエンジニアの平均年収と案件単価の相場
AWSエンジニアに興味がある方にとって、気になるのがその収入ではないでしょうか。
企業に所属し、会社員のAWSエンジニアとしての平均年収は約500万〜600万円と言われています。
また、フリーランスAWSエンジニアとして働く場合には、平均単価は約60万〜70万円とされています。
しかし、これはあくまで平均です。
例えばフリーランス案件ではスキルによって単価が上下する案件もあったりと、どのような働き方にしても、経験年数や保有するスキルによって収入は大きく変わってくるでしょう。
そのため高収入を目指したい方は、より専門的な経験やスキルを積むことを意識すると良いですね。
AWSエンジニアにおすすめの資格4つ
AWSエンジニアには絶対に資格が必要、というわけではありませんが、資格を持つことでクライアントのニーズを満たすスキルを持つAWSエンジニアだということを証明できます。
そこでおすすめなのが、Amazonが提供する「AWS認定」です。
AWS認定は、レベルや出題範囲によって次の4つに分けられています。
AWS認定(クラウドプラクティショナー)
クラウドプラクティショナーは、AWS認定の中でも難易度が低めだと言われる基礎的な資格です。
AWSエンジニアに必須となる、AWSクラウドの概要、AWSの基本的なアーキテクチャ原理やセキュリティ、料金モデルやマネジメントなどの基礎知識が問われます。
クラウドプラクティショナーはエンジニアとしてのスキルを証明するというより、基礎知識の確認として特に初心者の方におすすめですね。
AWS認定(アソシエイト)
アソシエイトレベルは、実務経験や個人利用などで1年ほどのAWS経験があるエンジニア向けの試験です。
アソシエイトには、設計に関する経験のあるアーキテクト向けの「ソリューションアーキテクト」、AWSの管理・運用経験のある運用担当者向けの「SysOpsアドミニストレーター」、AWSを利用したアプリ開発・保守経験のある開発者向けの「デベロッパー」の3種類の試験があります。
キャリアアップを目指す方は、3種類すべての試験の合格を目指すと有利になるでしょう。
AWS認定公式サイトにはAWSに関わる教材もあるため、試験前の学習に利用すると良いですね。
AWS認定(プロフェッショナル)
プロフェッショナルレベルでは、アーキテクト向けの「ソリューションアーキテクト」と運用・開発担当者向けの「DevOpsエンジニア」の2種類の試験があります。
どちらもそれぞれのポジションで2年以上の実務経験があることを前提とした、AWSに関するより高度な知識やスキルがあることを証明する試験になります。
こちらも実務経験を積みながら取得を目指しましょう。
AWS認定(専門知識)
専門知識の試験では、
- データベース
- セキュリティ
- データアナリティクス
- 機械学習
- 高度なネットワーキング
の5つの試験区分に分けられています。
それぞれの分野でAWSを用いて問題解決を行えるスキルがあることを証明できる資格で、分野によっても異なりますが1〜5年の実務経験とこれまで紹介した3つのAWS試験の合格が推奨されています。
AWSエンジニアとして得意な分野をつくり、より深い知識を持っていることをアピールしたい方におすすめです。
専門性を求められやすいフリーランスでは、この資格を取得することで案件獲得につながる可能性もありますね。
AWSエンジニアに求められるスキル3つ
では、AWSエンジニアはどのようなスキルが必要なのでしょうか。
AWSエンジニアとして活躍するには、以下のような幅広い知識やスキルが必要となります。
AWSサービスへの理解
AWSは数多くのカテゴリーで、200以上ものサービスを提供しています。
そのためAWSエンジニアは、使用頻度の高いサービスを理解し、それを使いこなすスキルが求められるでしょう。
クライアントからは、AWSサービスの使い方についての提案や構築ができるAWSエンジニアに需要が集まります。
AWSエンジニアを目指す方は、AWSサービスへのしっかりした理解が必要となります。
インフラ整備のスキル
AWSエンジニアは、主に開発環境を構築するといった仕事を行います。
そのため、AWSサービスへの理解のみでなく、インフラ構築全般のスキルが求められるでしょう。
具体的には、システム開発の知識やサーバーOSの構築、運用するスキル、セキュリティの知識、ハードウエア知識、さらにネットワークの全般的スキルなどの幅広いスキルが必要となります。
このように、AWSエンジニアはインフラエンジニアに必要なスキルや、AWSならではのスキルの両方が求められます。
データの取り扱いスキル
AWSエンジニアは、これまでのインフラスキルやAWS利用知識の他にも、データを取り扱うスキルが求められます。
それは、AWSには数多くのデータストレージが用意されているためです。
これらのデータ保存領域は、通常の運用のみならず、バックアップや移行にも使われています。
また、データ容量は課金制となっているので、無駄なく適切に保存すればコスト削減につながるでしょう。
容量を無駄に消費するとその分費用が膨らんでしまうため、バランスよく使用することが大切です。
AWSエンジニアの将来性が「高い」と言われる理由
AWSエンジニアという職種について興味を持っている方の中には、その将来性に疑問を持ち、習得や転職に踏みきれないといった方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、AWSエンジニアの将来性は高いと言われています。
その理由をいくつかご説明したいと思います。
クラウド環境への移行
現在、より柔軟に低コストで運用できる点などがメリットとなり、オンプレミスからクラウド環境への移行が世界的に進んでいます。
日本でも、システムインフラにクラウドサービスを導入する企業は増えてきています。
そんなクラウド化の流れの中で、多様な機能と高いセキュリティからAWSはトップのシェア率と認知度を誇っています。
今後もクラウド化は進むと考えられ、既に日本の有名企業などでも多く利用されているAWSがさらに需要を高めることは間違いありません。
AWSの需要増加とともに、AWSエンジニアの需要も増えていくことでしょう。
AWSサービスの多様化
AWSが多種多様のサービスを提供していることも理由のひとつです。
AWSにはサーバーなどのITインフラだけでなく、IoTや機械学習、データレイクや分析など、拡がりが期待される先端分野に活用できるサービスも存在します。
今後さらに多様な機能・サービスが追加されることももちろん考えられ、様々な場面で需要が高まるでしょう。
AWSエンジニアの人材不足
IT化、クラウド化の進む企業でエンジニアの需要は増え続けており、中でもAWSの技術・知識を必要とする専門性の高いAWSエンジニアの人材は不足していると言われています。
実際にエンジニアルートに掲載されているフリーランスのAWSエンジニア案件を見ても、月単価の平均が約75万円ほどと高めになっています。
AWSについてより高い知識とスキルを身につければ、エンジニアとしても高収入が見込めるかもしれませんね。
【ケース別】AWSエンジニアになるための方法
では、実際にAWSエンジニアになりたい!という場合、どんなステップを踏めばよいのでしょうか。
未経験からAWSエンジニアを目指すケースと、プログラマー経験のある方がAWSエンジニアを目指すケースに分けてご紹介します。
(1)未経験からAWSエンジニア
将来性の見出しでもご紹介したように、AWSエンジニアは高い専門性と知識を必要とする職種です。
IT関連の業務未経験の状態からAWSエンジニアになるのはかなりハードルが高いため、まずはIT関連企業への就職・転職をして経験を積み、順序立ててキャリアパスを描いていきましょう。
AWSエンジニアの業務に近い業務を行うインフラエンジニアの経験を積んでいくのが、より近道だと言えるかもしれません。
ネットワークやサーバーなどITインフラの構築・運用管理を行うインフラエンジニアとして、まずはオンプレミスのITインフラ知識・スキルを習得し、ITインフラに関する下流から上流工程までの一貫した経験を積めるとよいでしょう。
基礎的なIT知識やインフラに関する知識を学んだ上で、クラウド環境やAWSについての専門的な知識を身に着け、AWSエンジニアとしての活躍を目指しましょう。
(2)プログラマーからAWSエンジニア
AWSエンジニアの求人や案件を見ると、ソフトウェアの開発経験を必須としているものもあります。
そういった開発スキルを求められるAWSエンジニアを目指す場合、現在、プログラマーとして開発経験がある方は有利かもしれません。
より様々な開発環境での経験があると転職にはより有利に働きます。
もちろん、AWSエンジニアにはインフラに関する知識・スキルやAWSそのものに関する知識知識が不可欠です。
そういったものを独自に学んでいかなければならない点はハードルが高いですが、近年では、スクールやスキルを証明する資格も充実しています。
開発経験やプログラミングスキルのあるAWSエンジニアは重宝されます。
収入アップや将来性の高いキャリアパスのひとつとして、転職を考えてみるのも良いかもしれませんね。
(3)インフラエンジニアからAWSエンジニア
AWSエンジニアになるには、インフラエンジニアからキャリアチェンジするという方法もあります。
オンプレミスでのインフラ構築の業務経験は、AWSエンジニアとしてクラウド環境での業務にも役立ちます。
インフラエンジニアとしてインフラ構築のスキルと知識を身に着けながら、クラウドサービスやAWSについて学習を進めていけば、AWSエンジニアへのキャリアパスとして近道になるかもしれません。
AWSエンジニアの代表的なキャリアパス
AWSエンジニアとしてスキルと経験を積めば、その後も様々なキャリアパスへと活かすことができます。
AWSエンジニアの代表的なキャリアパスを3つ、ご紹介します。
プロジェクトマネージャー
インフラの設計構築やAWSを利用したシステム開発の経験があれば、プロジェクトマネージャーとしても活躍できるでしょう。
クライアントの要望を適切にヒアリングし、プロジェクトの成功のために様々なマネジメントを行うプロジェクトマネージャーの業務は、AWSでのプロジェクト上流工程の経験が活かせます。
実務的なスキルとともにマネジメント能力やチームをまとめるためのコミュニケーション能力などが問われますね。
フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとは、複数の分野においてマルチに活躍できるエンジニアのことを指します。
サーバーやネットワークなどのインフラからセキュリティ、プログラミングなど多様なスキルを求められる職種であるため、幅広い知識とスキルを必要とするAWSエンジニアの経験を活かすことができますね。
ITコンサルタント
現代ではクラウドサービスが普及しており、多くの企業がAWSをはじめとするクラウドサービスを活用しています。
そこで、AWSに関する深い知識と経験、また経営的な視点があれば、AWSなどのIT技術を利用した問題解決を行うITコンサルタントとしても活躍できるでしょう。
コンサルティングには高いスキルと実績が必要なため、幅広く様々な実務経験を積むことが重要ですね。
AWSエンジニアはフリーランスにおすすめ?
世界的に数多くの企業が導入しているクラウドコンピューティングサービスの超大手であるだけに、フリーランスとして活躍するエンジニアにもおすすめです。
先進国の中でも日本ではいまだにクラウドの導入が進んでいないケースも多く、この先日本でAWSなどのクラウドを導入する企業が増えることでAWSエンジニアの需要も増加していくのではないかと言われています。
AWSに関する技術や知識、実務経験を積んだエンジニアは他のクラウドサービスに対応する能力も身に付きやすいでしょう。
フリーランスとして、どこでも通用するエンジニアになりたいという方や、将来性の高い技術を身に付けたいという方はAWSのスキル習得を目指しても良いかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、エンジニアを目指す人にとって今後も重要な職種となるであろう、AWSエンジニアについて詳しくお伝えしました。
現在もAWSは世界各国の多くの人々に活用されており、今後もクラウドサービスを導入するならばAWSを導入するという企業が増えて続けていくことが予想されます。
AWSを導入する企業が増えると必然的にAWSエンジニアの需要が高まるため、資格の取得が必要だと感じた方や、AWSエンジニアに興味がある方はぜひAWSについて学習を進めてください。
数多くのサービスを提供しているAWSの専門的なエンジニアになるためには、柔軟な発想や提案力などのスキルが求められることになるため、今のうちから知識を深めておきましょう。