5分で分かる!テストエンジニアの仕事内容や必要なスキルとは?未経験でもチャンスあり?

「IT業界で働くエンジニア」と一言で言っても数多くの種類があります。IT化が加速する現代社会にエンジニアという存在は欠かせないものですが、そうしたエンジニアの中でも特に「テストエンジニア」という業種の需要が高まってきているのです。意外と知らない方も多いテストエンジニアですが、実は縁の下の力持ちのような役割をしており、大事な存在です。
そこで今回は、テストエンジニアのことを知らない方に向けて、仕事内容や必要スキルをご紹介します。
「そもそもテストエンジニアが気になる」
「未経験からでも始めやすいエンジニアってあるのかな?」
この記事を読めば、このような悩みを解決できます。是非、参考にしてください。
目次
テストエンジニアとは?
そもそもテストエンジニアとは、その名の通りデジタル機器などに組み込まれているソフトウェアなどが、仕様書に沿って正しく開発されているのかどうか、実際に作動させてみて不具合が起きないかなどを確認するためのテストを実施し、チェックするITエンジニアのことを指します。
テストエンジニアは、不具合が起こらないかどうかのテストを実際に行うだけではなく、各工程を管理しつつテストの計画を練り、テスト設計の考案を行うなど、テスト管理者やテスト設計者、テストマネージャーなどの役割を果たしているエンジニアです。基本的にはテスターと呼ばれるテストの実施を専門に行う担当者とともに業務を遂行していくことになります。
さまざまなソフトウェアが開発されている現代において、品質向上を目指すためにはテストエンジニアによるテスト作業が非常に重要であると考えられており、そうした背景からテストエンジニアの需要も高まり続けているのです。
1-1. テストエンジニアとテスター・デバッガーの違い
テストエンジニアは「テスター」や「デバッガー」といった役割とよく混同されますが、それらとの大きな違いは担当する業務の範囲にあります。
企業によっても担う業務に細かな違いはありますが、基本的にテスターは与えられたテスト計画に沿ってテストを実施しエビデンスを取る役割を、デバッガーはそのテストによって明らかになったバグの修正を行う役割を担っています。
対してテストエンジニアはテスト計画の設計から実施、また分析までのテスト工程のすべてに携わり、近年では場合によってテストを自動化させるためのプログラムの作成を行うこともあります。
プログラミングやテストに関するより専門的な知識やスキルを必要とするのがテストエンジニアです。
未経験者はまずテスターの業務を担当しながらITシステムの基礎やテストについて学ぶことができます。
そのため、テスターにはアルバイトなどの採用も多いですね。
2. テストエンジニアの主な仕事内容
では、テストエンジニアが担当するテスト工程では、主にどんな業務が行われているのでしょうか。
5つの工程に分けて、その仕事内容を詳しくご紹介します。
2-1. テスト計画の策定
まずテストエンジニアの業務は、テスト計画を策定することから始まります。
テスト対象となるソフトウェアなどの仕様の調査を行い、開発者と情報を共有しながらテストする機能やどこまでをテストするかの範囲、テストの優先順位を決定して計画書にまとめていきます。
2-2. テスト設計
テスト設計の工程では、策定した計画書をもとに実際にどのようにテストを実施するかという設計を行います。
重点的にテストを実施すべきなのはどの機能かなどのテスト観点や、テストの対象やその範囲に適したテスト技法はどれかなどを細かく判断していきます。
その後、テストを実施する手順を具体的に仕様書に落とし込むためのテストケースを作成します。
2-3. 各種テストの実行
テストの仕様書が完成したら、その設計をもとに実際にテストを実行する段階に入ります。
テストの実施にはテスターを雇う場合やエンジニアがテスターを兼任する場合、またソフトウェアで自動化させる場合など、企業や行うテストによって異なります。
テストにも様々な種類があり、プログラムが単体で正常に動作するかを確かめる「単体テスト」、複数のプログラムを組み合わせた際に不具合が起きないかをテストする「結合テスト」、実際の運用環境で正常に動作するかをチェックする最終テストである「総合テスト」などがあります。
これらは開発中からリリース前までそれぞれ段階的に行われる場合もあり、このようなテストと修正を繰り返して実際の運用までの問題を取り除いていきます。
2-4. レポート作成
テストが終了したら結果をレポートにまとめ、テスト対象の開発者やプロジェクトリーダーなど、上流工程に携わる担当者に報告します。
ここでテストに不備があった、追加のテストが必要になった、などの場合は、再テストを実施するということもあります。
2-5. テスト結果の分析
テストの結果を分析し、改善点を提案するのもテストエンジニアの重要な役割です。
テストの結果からクライアントの視点に立ってソフトウェアを評価し、改善するとよい点や何らかの不具合などが見つかった際にはどのように改善すべきかも含め、分析し担当者に改善の提案を行います。
このようにテストエンジニアの業務はテストの設計から実際のテスト、またテスト後まで多岐にわたり、ソフトウェアなどが問題なくリリースに至るための重要な役割を担っているのです。
3. テストエンジニアの平均年収
テストエンジニアの年収はスキルや勤務する企業によって200万~1,000万円と大きく幅があります。
これはテスターと同様の扱いになる未経験のエンジニアから、テスト管理者の実務経験などを積みプログラミングスキルや深い知識を備えたテストエンジニアまで、様々なエンジニアがいることも関係しています。
平均的な年収としては約400万~600万円ほどが一般的だとされていますね。
高収入のテストエンジニアになるには、幅広い業務を行えるスキルやプラスの資格取得などを目指しましょう。
4. テストエンジニアに求められるスキル
テストエンジニアになるためには、必要なスキルがいくつかあります。
ここからは、これからテストエンジニアを目指す方に向けて必要なスキルをご紹介していきます。
4-1. ソフトウェア開発に関するスキル
テストエンジニアはあらかじめ用意された行程に沿ってテストを実施するテスターとは異なり、テストを行う対象がどういった手順で実装されているのかを把握し、どのようなテストが必要になるのか、新たなテストは必要ないのかなどを見極める能力が必要とされます。
そのため、対象となるものがどのように開発されているのか、工程を理解できるような知識があると良いでしょう。
4-2. テスト技法に関するスキル
一般的に必要とされるのは、単体テストと呼ばれるプログラミングコードを一行ずつ実行することによって動作の確認を行うテストや、統合テストと呼ばれるモジュール間を結合するテスト、システムテストと呼ばれるシステムの全体の動作確認を行うテストに関するスキルが必要とされます。
それぞれのテスト工程について理解し、どのようなテストが必要になるか判断ができるようなテスト技法に関するスキルがあると良いでしょう。
○集中力と忍耐力
必要なテストを検討していく上で、最終的に膨大なテストが必要になるケースや、細かい部分の見直しが必要になることも珍しくありません。
そのため、膨大なテストを行う中でも見落としを防ぐことができるような高い集中力と、ひたすらテストを行うことに耐えられるような忍耐力が必要とされるでしょう。
○文書作成能力
テストを行ったことについて、なぜテストが必要だったのか、どのようなテストを行いどのような問題があったのかなど、証拠を残し第三者に伝える必要があります。そのため、プレゼンテーションにて相手に分かりやすく伝えることができるような、文書作成に関する基本的なスキルは必要不可欠となります。
4-3. 品質管理に関するスキル
テストエンジニアには品質管理に関する知識も求められます。
品質管理には「当たり前品質」「魅力的品質」と呼ばれる視点が重要になります。
「当たり前品質」ではクライアントやユーザーができて当たり前と考える基本機能を確実に保証できる品質、「魅力的品質」では性能面などクライアントの評価につながる付加価値のような部分の品質の考え方です。
こういった基本的な品質管理に関するスキルを利用し、テストを通して品質を向上させることが必要になります。
5. テストエンジニアの仕事に役立つ資格
テストエンジニアとして業務を行う上で必要な知識を身につけるために、資格を取得するのもおすすめです。
業務はもちろん就職や転職、キャリアアップにも役立つテストエンジニアの関連資格を3つ、ご紹介します。
5-1. 基本情報技術者試験
まずは経済産業省が認定する国家資格で、独立行政法人IPA(情報処理推進機構)が主催する『基本情報技術者試験』です。
ITに関する基礎的な知識を問われる資格のため、テストエンジニアをはじめとするエンジニア職種は取っておいて損はない資格です。
プログラミング知識も必要とするため、バグ修正などを行うことになるテストエンジニアにももちろんおすすめですね。
上位資格の『応用情報技術者試験』もありますので、さらに上のIT知識を身に着けたい方は合格後に目指してみるのも良いかもしれません。
5-2. JSTQB認定テスト技術者資格
国際的なテスト技術者認定組織であるISTQBの日本支部、JSTQBが運営する資格『JSTQB認定テスト技術者資格』はソフトウェアテストの知識を問われるテストエンジニア向けの資格です。
まずは基礎的な知識を示すFoundation Levelに挑戦しましょう。
Foundation Levelの合格と3年以上の実務経験を積むと、上位のAdvanced Levelを受験することができます。
Advanced Levelでは内容によってテスト工程の幅広い知識を問われるテストマネージャーと、テストの分析技法に関する専門的な知識を問われるテストアナリストの2つに分けられています。
5-3. ソフトウェア品質技術者資格認定
『ソフトウェア品質技術者資格認定』は一般財団法人日本科学連盟が運営しており、ソフトウェア品質に関する知識を必要とする資格です。
テストエンジニアはもちろん開発者であるシステムエンジニアやプロジェクトマネージャーなど、ソフトウェアに携わるエンジニアすべてにおすすめです。
初級・中級の2つの難易度に分けられていますので、未経験者や初心者の方はまず基礎レベルの初級の合格を目指すと良いでしょう。
テストエンジニアは未経験から仕事できる?
テストエンジニアになるためには、持っていると良いスキルはありますが、テストエンジニアになるために必要不可欠と言われる資格はありません。そのため、IT業界の中でも未経験から挑戦しやすい職業のひとつと言われています。
初心者がテストエンジニアとして働く場合には、まずはテスト業務などを任され、徐々にスキルアップしていくことになります。
未経験からテストエンジニアになり、そこからテストエンジニアとしての道を極めることもできますし、テストエンジニアとして幅広い行程に関わることでプログラマーや他のエンジニアの業務を覚え、転向することもできます。
未経験だからとIT業界に携わることを諦めず、まずはテストエンジニアになり、将来的にどのようなエンジニアになりたいのか、IT業界において今後どのように活躍をしていきたいのかを考えていくのも良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、IT業界の縁の下の力持ちとも言われるテストエンジニアについて詳しくお伝えしました。
テストエンジニアは未経験からでも挑戦するチャンスがある職業の一つで、ITスキルと経験を徐々に身につけ、ステップアップしていけばどこでも通用するようなテストエンジニアになれるかもしれません。
今後も高い品質が求められ続けるIT業界において、企業やユーザーなど、数多くの人の役に立つ仕事がしたいという方は、テストエンジニアになることを目指してみてはいかがでしょうか。
テストエンジニアに関するよくある質問


テストエンジニアとは、ソフトウェアなどが正しく開発されているかどうか、不具合が起きないかなどのチェックのためのテストを設計・実施するエンジニアのことを呼びます。
詳細はこちらをご覧ください。


テストエンジニアの年収は、一般的に約400万~600万円程度と言われています。スキルや経験によっても幅があります。
詳細はこちらをご覧ください。


テストエンジニアには対象となるソフトウェアの知識やテスト技法・品質管理に関する知識、また不具合を見逃さない集中力と忍耐力などが求められます。
詳細はこちらをご覧ください。