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【第1回】構築のポイント(1) グローバルサイトとは〜現役エンジニアが解説するグローバルサイト制作教室〜

グローバルサイトとは

企業にとっての「グローバルサイト」というのもをあえて定義するなら「海外展開を行っている企業が、各地域の環境に柔軟に適応しているサイト」と考えます。

例えば、同じ自動車メーカーの同じ車種を購入しようとしている日本在住の消費者Aさんとドイツ在住の消費者BさんがWeb上でどんなコンテンツにアクセスするのかを比較してみます。

日本在住の消費者Aさんの場合

Aさんはテレビドラマで登場したある車をみて一目惚れ、購入したくなって早速ウェブで検索してみました。
検索ワードは「Estima」たどり着いたページはトヨタ自動車の「Estima」のサイト。

そこには日本語で

  • 価格
  • 仕様
  • 販売店検索
  • カタログ請求
  • 見積シミュレーション
  • ご購入相談
  • WEBカタログ

といった様々なメニューがあります。

ドイツ在住の消費者Bさんの場合

Bさんもドイツ国内で見たCMで同じ車に一目惚れ、同じように検索してみました。

検索ワードは「Previa」。
Previaとは欧米でのエスティマの呼び名で、たどり着いたページはトヨタ自動車の「Previa」のサイトです。

もちろんドイツ語で、そこには

  • ユーロでの価格
  • ヨーロッパの基準に合わせた仕様
  • ドイツおよび近隣の販売店検索
  • 欧州仕様でドイツ語で書かれたカタログの請求
  • ユーロ建てで、欧州仕様を前提にした見積シミュレーション
  • ドイツ語でのご購入相談
  • 欧州仕様でのWEBカタログ

といったコンテンツが並んでいます。

各地域の環境に柔軟に適応する

同じようなコンテンツなのに表示する情報にいろいろな箇所に違いがあり、それは単に言語だけではないとことがわかります。

一つの企業が世界中の競争相手と一緒に世界中の消費者を相手にモノを売る場合、このように様々な違いを克服しなければ売ることはできないのです。

特に昨今の消費者はWebで商品の情報を十分に蓄えてから販売店に足を運ぶ傾向があります。
ですので、製品数の多い家電量販店などでは特定の製品に限定すれば、店員よりも客の方が仕様に詳しいという場合も生じてしまう程なのです。

今やWebは消費者にとって購入前の重要な情報収集手段であり、各企業もWebに自社の製品情報・販売情報を適切に表現することは非常に重要なことは認識しています。

それは一言で言えば、冒頭に書いた通り「各地域の環境に柔軟に適応する」ということだと言えます。

あなたは今どこにいますか?

ユーザがどこからアクセスしているのかを把握できると表示する内容を色々と制御することが可能になります。

例えば、アメリカでは販売しているが日本では未発売の製品があった場合、アメリカからアクセスしているのであれば製品リストに表示するけども日本からアクセスしている場合であれば、たとえ英語ページであっても表示しないとかそういった制御をする必要性があります。

YouTubeのコンテンツなども日本では視聴できないものがたまにありますがこれはどこからアクセスしているかをサイトが把握しているためできることなのです。

具体的な説明は省きますが、代表的な方法としてはMax Mind社のAPIを使用する方法になります。

この場合、同社と契約し、APIでWebサーバ側で取得したユーザのIPアドレスを送信するとMax MindからISOの国コードが戻ってくるという仕組みになります。

この仕組みをどのような場面で活用するのか?というと前述したような制御をしたい場合はもちろんですが、会員登録の際に国名を選択する際、このAPIを利用していると、例えば、日本からアクセスしている場合は国名のセレクトボックス部分をデフォルトで「Japan」と表示することが可能になります。

こんな機能必要?と思うかもしれませんがもしこれを実装していない場合、ユーザから見ると200近くある国をわざわざスクロールしながら選択する必要があります。

仮にアルファベット順のセレクトボックスだとアフガニスタン(Afghanistan)が先頭になるのですが、めんどくさがりのユーザは適当に先頭の国を選んでしまうので、会員の属性を調べてみると妙にアフガニスタンの会員が多くなったりします。

できるだけユーザの正確な情報を入手するには、このように自動でユーザの居場所を把握してあげる工夫が必要だと思います。

あなたは何語を使ってますか?

ユーザが何語を使用しているのか?これも把握することが可能です。
具体例は「ブラウザ 言語 取得」などでググってみてください。

ブラウザの言語というのは例えば

  • 第一言語:ロシア語
  • 第二言語:中国語(簡体)
  • 第三言語:ハングル語

というような形で複数設定可能なので、仮に、日本語・英語・中国語(簡体)に対応したサイトであるなら、上記のブラウザがアクセスしてきた場合、Web側のロジックとしてはまず

  1. ブラウザの第一言語を取得する(ロシア語)
  2. このサイトはロシア語は対応してないので第二言語をチェック
  3. 第二言語をチェック(中国語(簡体))
  4. このサイトは対応しているので中国語(簡体)のページにジャンプ

こんなロジックになります。

あと、会員登録の際に取得した第一言語をDBに登録しておくと、例えば日本語と英語しか対応していないサイトが、その後フランス語も対応を始めた際にはブラウザの第一言語がフランス語だったユーザにフランス語サイト開設の案内を送ったり、メメルマガもそれまで英語で送信していたのをフランス語で送信することも可能になります。

このようにどこからアクセスしているのか、どの言語を使用しているのかを把握して工夫するだけでユーザビリティを大きく高めることができるのです。

次回以降はもう少し踏み込んだグローバルサイトのポイントを解説していきます。

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