商社で活躍するエンジニアとは?その役割や商社系SIerについても解説

メーカーとユーザーをつなぐ役割を担う商社。
多様なビジネスを展開する商社業界では営業や企画など様々な職種の方が所属していますが、ITシステムやデジタル技術が業務に不可欠な現代では、各商社のシステムを担当するエンジニアも欠かせないでしょう。
そこで今回は、商社でのエンジニアの役割について、関連のある商社系SIerの存在やその将来性なども合わせてご紹介したいと思います。
目次
商社とは?
商社とは、様々な商品・サービスを提供するメーカーと買い手となるユーザーや企業とをつなぐ、いわば仲介役のような役割を持つ企業です。
自社で商品やサービスを製造・提供するというわけではなく、商品の仕入れと販売を仲介し、調整役を担うことが基本的な業務となります。
その商社によって扱う商品は異なり、海外からの商品を扱う企業もあるため、単なる販売活動だけではなく、輸出入に際した事務手続きや物流の手配、また市場の情報の収集など、幅広い業務を行います。
商社の種類
商社は、「総合商社」と「専門商社」の大きく2つに分けられます。
総合商社は、総合、と名の付く通り取り扱う商品の分野が非常に幅広く、また国内外からグローバルな取引を行っているのが特徴です。
対して専門商社は、例えば食品分野など、特定の分野の取り扱いに特化した商社です。
総合商社と比べて規模は小さくなることは多いですが、専門性が高い分それぞれの専門分野の高度な知識・スキルが求められるでしょう。
商社勤務に向いている人の特徴
そんな商社では、冒頭にご紹介したように企画や営業など様々な職種の方がいますが、商社勤務に向いているのは次のような特徴を持つ人だと言われています。
コミュニケーション能力が高い人
まずは、コミュニケーション能力です。
コミュニケーション能力はどんな仕事でも重要になりますが、商社はメーカーとの仲介役を担う企業であるため、取引先や顧客との信頼関係が非常に重要になります。
そのため、良好な関係を築くことができるコミュニケーション能力は欠かせないでしょう。
多様な価値観を受け入れることができる人
総合商社では特に、国内外問わず取引を行うことが多く、国外の多様な価値観や文化に触れる機会が多くなります。
グローバルな取引では価値観や文化の異なる企業と協力して進めていくことになるため、それぞれの文化を尊重し合いながら業務を行うことが求められるでしょう。
そのため、固定観念がなく多様な価値観を受け入れることができる人は、向いていると言えるかもしれません。
洞察力があり、柔軟性の高い人
商社では幅広い商品を扱うため、市場の動向を察知し、ビジネスチャンスを見逃さないような洞察力やトレンドへの嗅覚も重要になります。
また、業務の幅も広いため、急なトラブルや予定変更など、予期せぬ状況の変化が起こることもしばしばあるでしょう。
そういった際に物事をポジティブにとらえ、迅速に対応できる柔軟性も、商社に向いている人の特徴です。
商社でのエンジニアの役割
商社では部署ごとに様々な役割を担う職種が連携することで業務を進めていますが、業務を行う上で、様々な業務システムやデジタル技術の活用は欠かせません。
そこで、商社でもこのようなシステムやネットワーク、IT機器などの運用・保守を担うエンジニアが活躍していることも多いでしょう。
このように、自社内でのシステムの運用保守などを行うエンジニアは、「社内SE」とも呼ばれます。
システムの導入や運用、トラブル対応などの保守業務はもちろん、システムに関する予算管理を担ったりすることもあります。
開発を自社内で行う場合には、その企画や開発、外部に委託する場合のコストや進捗の管理なども社内SEの業務のひとつになりますね。
また、社内SEは社内のITの何でも屋さんのような役割を担う場合もあり、IT機器のトラブルや設定など、社員からの問い合わせに対応する業務も発生します。
そのため、IT全般に関する幅広い知識が求められるでしょう。
商社系SIerとは?
SIerとは、システムの開発や導入などを担う企業・業界のことです。
SIerには、親会社を持っておらず、営業から社内で行う独立系SIerやハードウェア・ソフトウェアの開発メーカーなどを親会社に持つメーカー系SE、外資系企業を母体とする外資系SIer、企業や金融機関などを親会社に持つユーザー系Slerなどいくつかの種類があります。
ユーザー系SIerに含まれるSIerの種類のひとつとして、商社を親会社とし、商社内のシステム部門が独立する形で作られた商社系SIerもあります。
前述したような社内SEがシステムに関する業務を担うこともありますが、比較的規模の大きい商社では、こうした商社系SIerが親会社・グループ会社向けのシステム開発・導入を担当していることも多いでしょう。
SIerについてより詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご覧ください。
(内部リンク:https://www.engineer-route.com/column/4654/)
商社系SIerの将来性
商社系SIerを含むユーザー系SIerでは、大規模な企業・機関が親会社となっていることが多くあります。
親会社・グループ会社の案件は基本的に自社のSIerに依頼されるため、親会社が安定している限り、大型の開発案件は安定した受注が考えられます。
また、近年では業務効率アップのために多くの業界・企業でDXが進められており、システム開発の需要は非常に高くあります。
外部の案件を受注しているケースもあり、また既存のシステムの改修など保守案件も発生するため、将来性も期待できるでしょう。
商社系SIerからのキャリアパス
商社系SIerに所属することで、エンジニアは次のような様々なキャリアパスを描くこともできます。
◯システムエンジニア(SE)
システムエンジニアは、システムの設計・開発に直接的に関わるエンジニア職種です。
システムエンジニアとしてのスキルを高め、さらにキャリアアップを目指すこともできるでしょう。
◯プロジェクトマネージャー
商社系SIerでは上流工程に関わる業務が多く、プロジェクトでもより上流工程やプロジェクト全体に携われる機会が多くなります。
プロジェクトマネージャーに必要なスケジュール・プロジェクトの管理能力やクライアントとのコミュニケーションなど、技術面以外のスキルも身に着けることが可能になります。
◯ITアーキテクト
ITアーキテクトはシステムエンジニアの上位職とも言われ、システム全体の企画立案、設計などを担う職種です。
こちらも上流工程に携われる機会の多いSIerでの業務は、必要なスキルを身に着けるための近道となることがあるでしょう。
まとめ
今回の記事では、そもそも商社とは何か、また商社に向いている人の特徴も含めて、商社や商社系SIerで活躍するエンジニアについてご紹介しました。
近年あらゆる業界でDXが推進されており、商社でもITシステムの活用は業務効率化のために欠かせないものとなっています。
商社系SIerへの所属という道もありますので、興味のある方はぜひ転職を目指してみてはいかがでしょうか。