Web系・業務系・組み込み系の違いって?それぞれの特徴や求められるスキルも
「エンジニア」と一口に言っても、担当する領域や分野ごとに様々な職種があることはご存じでしょうか。
IT業界、エンジニア業界の職種は、大きく分けると「Web系」「業務系」「組み込み系」の3つに区分されます。
しかし、エンジニアを目指す方など、それぞれどのようなもので、どの分野を目指せばよいか迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、Web系・業務系・組み込み系それぞれの違いを、特徴や仕事内容からご紹介していきます。
ぜひ本記事を参考に、興味のある分野を見つけてみてくださいね。
目次
Web系・業務系・組み込み系の違いとは?
それでは、まずそれぞれどのような開発分野を指しているのか、その違いを見ていきましょう。
Web系とは
Web系とは、その名の通りパソコンなどのWebブラウザ上で動作するアプリケーションや、Webサービスの開発などを指します。
近年普及しているSNSやECサイトなどを中心に大きな需要があり、ゲームアプリケーションの開発も行うなど、一般のユーザーに向けたBtoCサービスの開発が中心となります。
BtoCでやりがいを感じやすいことや、初心者に挑戦しやすいスキルが多いことなどから、エンジニアの就職においても人気の分野ですね。
業務系とは
企業の業務効率化や課題解決のためのシステムや、業務用アプリケーションの開発を行うのが業務系です。
例えば、勤怠や給与の管理に関するシステムであったり、商品の在庫管理システムであったり、生産を管理するためのシステムであったり、企業経営の基盤となるような基幹システムの開発などですね。
近年ではDX化が推進されていたり、IT業界だけでなくあらゆる業界において業務のIT化が進んでいることもあり、その需要は増加しています。
組み込み系とは
組み込み系とは、家電や自動車、エレベーターなど、様々なハードウェアやデバイスに組み込まれるシステムの開発を行う分野です。
IoTの広がりにより、需要が増している分野でもありますね。
パソコンやスマートフォンでの動作が前提となるWeb系や業務系とは異なり、様々なハードウェアに対応しなければならないため、より専門的な知識が必要になる場合もあります。
Web系エンジニアの特徴・仕事内容
WebサービスやWebアプリケーションの設計から開発、運用保守までを行うWeb系エンジニアは、ユーザーの目に直接触れる「フロントエンド」と、ユーザーの目に見えない裏の処理を担う「サーバーサイド(バックエンド)」の大きく2つに分けられることが特徴です。
フロントエンドエンジニアはデザイナーの設計などをもとに、ホームページの外観となる部分やユーザーインターフェースの実際の作成といった業務を行います。
サーバーサイドエンジニアは、ユーザーがフロントエンドで行った処理をサーバーとつなぎ、サーバー側で行うべき処理やデータの保存などを行うプログラムを開発します。
Web系エンジニアに求められるスキル
フロントエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアで担当する領域が異なるため、必要となる言語やスキルも違いがあります。
それぞれ、以下のような言語が求められるでしょう。
フロントエンドエンジニア
- HTML/CSS
- JavaScript
- TypeScript
サーバーサイドエンジニア
- JavaScript
- PHP
- Python
- Ruby
さらに、サーバーサイドエンジニアにはもちろん、サーバーサイドの処理とも密接に関わるフロントエンドエンジニアも覚えておきたいのが、サーバーやデータベース、OSに関する知識です。
近年では小規模の開発において少人数や1人でフロントエンドからサーバーサイドまで一連の開発を担うケースも多く、どちらも幅広く対応できるエンジニアであれば需要を増やすことができるでしょう。
また、もちろんWeb系だけでなく他の分野でも同様ですが、近年ではクラウドサービスも普及しているため、今後はクラウドに関する知識も必須となってくるでしょう。
業務系エンジニアの特徴・仕事内容
業務系システム開発の設計から保守までを担う業務系エンジニアは、大規模なプロジェクトに関わるケースが多いことも特徴です。
そのため、要件定義から設計までを指す「上流工程」と、詳細な設計や実際の開発、運用保守などの「下流工程」に担当する領域が分かれることがあるでしょう。
基本的には、よりスキルや経験のあるエンジニアが上流工程を担うことになりますね。
開発の規模によっては、一部を外部委託するといったケースもあります。
既存のシステムの保守や既存システムからの移行なども業務系エンジニアの仕事となるため、新たな技術だけでなく昔から使われている言語なども使用することがあるでしょう。
業務系エンジニアに求められるスキル
業務系エンジニアが習得しておきたい言語としては、以下のようなものがあります。
- Java
- C++
- C#
- Python
- COBOL
- VB
また、上流工程ではクライアントの要望を丁寧にヒアリングし、課題を発見することがプロジェクトのスタートとなるため、クライアントに分かりやすく説明を行ったり、要望を引き出したりするコミュニケーション能力も求められるでしょう。
また、企業の重要な情報を守るために、セキュリティに関する知識もあると良いですね。
組み込み系エンジニアの特徴・仕事内容
組み込み系エンジニアは、前述のように組み込むハードウェアに合わせたシステムを開発するため、仕事の幅が広いことが特徴です。
そのシステムを搭載するハードウェアの開発も同時進行で行われることもあり、ハードウェアごとの特徴やシステムの目的をきちんと把握しておく必要があるでしょう。
また、ハードウェアの大量生産が前提となっているため、低コストで余計な機能のないシステムとなることも特徴ですね。
例えば自動車に組み込むシステムであれば事故時を想定するなど、そのハードウェアの利用時のあらゆる場面を想定し、エラーの起きないシステムづくりが求められます。
組み込み系エンジニアに求められるスキル
組み込み系エンジニアに求められるのは、言語としては以下のようなものです。
- Java
- アセンブリ言語
- C言語
- C++
- C#
また、組み込み系システムでは、機器に搭載するため使えるスペースや電力に限りがあります。
その中で迅速・正確な処理が求められるため、通常のOSではなく、組み込みシステムに特化したOSが用いられます。
代表的なTRONや組み込みLinuxといったOSに関してのスキルも欠かせないでしょう。
まとめ
今回の記事では、IT業界、エンジニア職種の大きな3区分である「Web系」「業務系」「組み込み系」について、それぞれの特徴や求められるスキルなど、違いを詳しくご紹介しました。
パソコンやスマートフォンなどの普及、DX・IT化の推進、IoTの広がりなど、どのエンジニア職種にも大きな需要があり、また今後も更なる成長や将来性が期待できるでしょう。
今後エンジニアを目指している、またエンジニアの中でも転職を目指しているなど、携わる分野に迷っているという方は、ぜひこの記事を参考に興味のある分野を選び、必要なスキルの習得を考えてみてはいかがでしょうか。