VC++の案件内容とは?その傾向やC++との違い、将来性まで解説!
組込みシステムの開発など、近年様々な開発の場で注目されている開発環境のひとつであるMicrosoft Visual C++。
C++とも混同されやすいVC++ですが、いったいどのようなもので、どんな案件が存在するのでしょうか。
今回はそんなVC++の案件について、傾向や将来性までをご紹介していきます。
目次
VC++(Microsoft Visual C++)とは?
VC++は「Microsoft Visual C++」という名称の略で、Microsoft社が開発し、リリースしている「Visual Studio」のパッケージに含まれている統合開発環境です。
Visual Studioは、Webアプリケーション開発やゲーム開発など様々な開発を行うために幅広い言語をサポートする統合開発環境で、Windows以外にも様々なOSに対応できます。
そんなVisual Studioに付属しているIDE(統合開発環境)が、VC++です。
C++との違い
その名前からC++と混同されやすいVC++ですが、C++はプログラミング言語であり、VC++は開発環境であるという明確な違いがあります。
C++はC言語を拡張し機能を追加した歴史の古いオブジェクト指向の言語であり、実行速度が速く汎用性が高いことから大規模な開発の現場で現在も広く使われています。
VC++はVisual Studio上でC++・C言語を使用できる開発環境であるため、VC++を活用した開発にはC++は必須と言っても良いスキルですね。
VC++の特徴
それではVC++には、開発環境としてどのような特徴があるのでしょうか。
Windows向けのシステム開発に適している
Microsoft社によって開発されていることからも分かる通り、VC++はWindows向けのシステム開発に適した開発環境です。
Windowsでの開発に役立つ機能を集めたライブラリであるMFC(Microsoft foundation class)も入っているため、Windows向けシステムを効率的に開発することができるでしょう。
2つの要素がある
VC++は、
- 標準C++
- C++/CX
といった2つの要素を持っています。
それぞれ標準のC++をもとにしたプログラミングと、Windowsストア向けのアプリケーション開発で用いるWindows Runtimeに対応したプログラミングの両方が行えます。
無料版・有料版が存在する
VC++が含まれるVisual Studioには、無料で使用できる「Visual Studio Community」と、共同開発を可能にする機能が使用できる有料版の「Visual Studio Professional」、テスト作業を自動化できるなどさらに充実した機能が使える「Visual Studio Enterprise」の3つのバージョンがあります。
無料版のcommunityでは機能に制限はありますが、個人開発では十分な機能が使えるため、学習を始めるのにはおすすめですね。
VC++案件の内容
VC++は、主に次のような開発の場で用いられています。
業務システムの開発
VC++はIT企業だけでなく、医療業界や金融など、様々な業界で業務システムの開発に使用されています。
業務システム開発案件では、他にもデータベースの知識や、実際にVC++を用いた同様のシステムの開発経験があると案件獲得に有利になるでしょう。
開発経験として、前述したWindows開発に役立つライブラリMFCを用いた開発の経験などが求められることもあります。
組み込みソフトウェアの開発
制御系システムとされる組込みソフトウェアの開発でも、C++の需要が高く、合わせてVC++が用いられることが多いでしょう。
組込みソフトウェアは、IoTの広がりやDX化に伴い市場が拡大しており、主流となるC++やC言語の需要は高まってきています。
VC++を扱う案件を獲得したいという方は、ハードウェアの知識も合わせて学び、組込みソフトウェアの開発ができるスキルを習得しておくと良いでしょう。
VC++でのアプリ開発の流れ
ここでは、VC++でのアプリ開発がどのように行われるのか、使い方を簡単に見てみましょう。
STEP1:プロジェクトの作成
まずは、必要なファイルを管理するための「プロジェクト」という名前の箱を作成しましょう。
「ファイル」を開いて新規作成し、「プロジェクト」を選択します。
そこからVisual C++を選択し、開発するアプリを選ぶと開発が開始できます。
STEP2:画面デザイン
次に、アプリ画面をデザインしていきます。
画面のデザインには、フォームデザイナーというデザインツールを用いると良いでしょう。
フォームデザイナーを使うと、アプリの画面に必要なメニューやボタンといった部品を簡単に設置することができます。
STEP3:プログラミング
画面がデザインできたら、いよいよ実際のプログラミングに入ります。
プログラム入力用のコードエディターを使用し、C++でプログラミングを行います。
STEP4:コンパイラでコンパイルする
プログラミングができたら、コンパイラでコンパイルを行う「ビルド」という作業を行います。
ビルド作業を行わなければ、その後にアプリを実行することができなくなってしまいます。
プログラムに不備があればエラーが出てビルド作業が終了しますので、再度修正しコンパイルを行う、ということを問題がなくなるまで繰り返します。
STEP5:実行する
ビルド作業が完了したら、実際にアプリを実行することができます。
実行し、動作確認を行いましょう。
STEP6:デバッグ作業
動作を確認し、不具合があればデバッグ作業を行います。
VC++にはデバッグを効率的に行うためのデバッガーと呼ばれる機能があり、プログラムを1行ずつ実行したり、好きなところでストップしたりといったことが可能です。
不具合が起きている箇所が分かれば再度コードエディターを使ってコードを修正し、またコンパイルを行うという流れを繰り返します。
最終的に実行に問題がなければ、完成ということですね。
VC++の将来性は?
Visual Studioは約2年ごとに新たなバージョンがリリースされていることからも、継続的な需要があることが伺えます。
そのためVC++にも同様の需要を見込むことができ、将来性も問題ないでしょう。
特に、注目されるIoT分野などでは、組込みシステムの開発などで用いられるC++の需要が今後も期待できます。
VC++も合わせて開発に使われるでしょう。
さらに将来性を高めたいという方は、VC++やC++だけでなく、他の言語やスキルも学んでおくのがおすすめですね。
まとめ
今回の記事では、Visual Studioに含まれる開発環境であるMicrosoft Visual C++、VC++について、その概要や案件内容などをご紹介しました。
VC++はIoTなどで需要が増している組込みシステムの開発にC++とともに使われており、今後も需要が見込まれる将来性の高い技術です。
組込みシステムの開発に携わりたい、業務システム開発など大規模な開発に携わりたいという方は、C++と合わせて学んでみてはいかがでしょうか。