SIer とWeb系企業を徹底比較!それぞれに向いている人の特徴も

IT業界で就職・転職活動をする中で、「SIer」や「Web系」といった言葉を耳にすることもあるのではないでしょうか。
SIer企業とWeb系企業はどちらが自分に合っているのか気になっているエンジニアの方もいらっしゃると思います。
今回はそんな「SIer」と「Web系企業」にはどんな違いがあるのか、それぞれの概要とともにご紹介したいと思います。
目次
「SIer」とは?
SIer とはシステムインテグレーター(System Integrator)の略で、クライアントから依頼を受けてそのクライアントの希望するシステムを開発・提供することを生業としている企業のことを指します。
代表的な企業としては、富士通や日立製作所、NEC などがありますね。
金融機関や官公庁などから依頼を受ける企業もあり、クライアントへのヒアリングから要件を定義し設計、開発から運用保守までを担います。
クライアントによって必要とするシステムも様々であるため、SIer の業務領域も幅広く多岐にわたります。
そのため下流工程は二次請け企業が行う、といった下請けを前提としているところが多いでしょう。
「Web系企業」とは?
対してWeb系企業は、Webを利用した自社サービスの運営・提供を行う企業のことを指します。
例えば、フリマアプリを提供する株式会社メルカリやブログサービス「Amebaブログ」を提供するサイバーエージェントといった、エンドユーザーを顧客とする企業が多くありますね。
自社サービスであるため企画構想から設計、開発、運用保守まで、すべて自社の業務範囲となります。
そのため、担当する業務の領域も幅広くなります。
SIerとWeb系企業の5つの違い
業務の概要以外にも、SIer とWeb系企業には様々な違いがあります。
5つのポイントに分けて、それぞれどのような違いがあるかご紹介します。
開発手法・スピード
開発するシステムに違いがあるため、その開発手法やスピード感も大きく変わってきます。
企業向けで納期や開発内容が明確に決められているSIerでは、古くから使われるウォーターフォール型の開発が主流となっています。
ウォーターフォール型では工程を戻すことなく、設計をしっかり終えてから開発に進むなど上流から下流の工程に順々に進めていきます。
大規模な案件が多いため、運用までに1年以上かかることもありますね。
対してWeb系企業では、サービスの内容が流動的で変更も多く、中には数週間単位でリリースされるものもあるなどスピード感が重視されます。
そのため、変化に柔軟に対応できるよう小単位で設計・開発・テストを繰り返すアジャイル型の開発が主流となっています。
求められるスキル
SIerではウォーターフォール型で担当工程が限られるため、設計書などのドキュメントから適切に開発の流れや仕組みを理解し、全体を正しく把握する能力が求められます。
また、顧客の要望をヒアリングし、正しく理解することも重要ですね。
技術的な面では、リスクの高い最新技術よりも歴史が古く安定性の高い技術が多く利用されます。
一連の業務を自社で行うWeb系企業では、プログラミングスキルはもちろんデザインなど、幅広いスキルを求められる場合があります。
また、複数の開発を並行する場合やスピード感が重視されるため、タスク管理能力や対応力も必要になってくるでしょう。
最新の技術を積極的に取り入れるのも、Web系企業の特徴ですね。
年収相場
IT業界では成果主義を採用しているところが多く、スキルや実績によって、またもちろん企業の規模によっても年収は変わってきます。
その点はSIer、Web系企業ともに変わりません。
そのため一概には言えませんが、それぞれの大手企業の平均年収で見るとSIerが約800〜900万円、Web系企業が約700〜800万円と、SIer の方が若干高くなる傾向にあります。
SIer の方が規模の大きい案件が多いこと、また、Web系企業の方が比較的年齢層が若いということが主な要因ですね。
キャリア
SIer では大規模なプロジェクトのため参画人数も多く、担当する業務の範囲が狭くなる傾向にあります。
そのためテストやプログラミングなどの下流工程を経験してから、要件定義や設計などの上流工程、またプロジェクトの管理をするマネージャーやリーダー的な役割を目指すというキャリアが一般的です。
システムによって顧客の課題解決を目指す点から、後にITコンサルトとして活躍する方もいます。
対して幅広い業務を担うWeb系企業では、上流工程やリーダーを目指す道だけでなく、特定の技術を極め、スペシャリストやテックリーダーといったキャリアを目指す方が多くいますね。
そのためWeb系企業で働く人の中には、SIer で開発経験を積んでから転職してきたという方も多数存在しています。
将来性
企業や国の機関などを顧客に持つSIerの将来性は、近年推進されており、広がりを見せるDXなどの影響も相まって非常に高いと言えるでしょう。
しかし、安定した技術が採用されているため最新の技術やトレンドのスキル習得に前向きではないため、個人としての将来性を高めるには業務外で自ら学習する必要があります。
その一方でWeb系企業も、それに負けない需要があります。
様々なSNSやECサイト、サブスクリプションなど、Webを利用したオンラインサービスは増加し続け、生活に欠かせないものとなっています。
今後も広がりを見せることは想像に難くなく、Web系企業の将来性も高いと言えます。
SIer・Web系企業に向いている人の特徴
違いが分かったところで、それぞれの企業にはどのような人が向いているか、その特徴をご紹介します。
転職で悩んでいる方などは、ぜひ参考にしてみてください。
SIerに向いている人
SIer に向いているのは、次のような人です。
- 大規模なシステムに興味がある人
- マネジメントスキルに自信がある・身につけたい人
- ITを活用した企業のコンサルティングに興味がある人
大規模なシステムの構築を経験できるのは、SIer の大きな特徴のひとつですね。
また、プログラミング業務よりも進捗管理などプロジェクトマネジメントを身につけたい、顧客へのヒアリングを経験し、将来的にITコンサルタントを目指したいなど、技術を極めるのとは異なるキャリアパスを描いているという人にもおすすめです。
Web系企業に向いている人
Web系企業には、次のような人が向いています。
- 最新の技術に興味がある人
- プログラミングが好きな人
- 0から何かを作り上げるのが好きな人
Web系企業ではトレンドやスピード感を求められるため、最新の技術を活用したい、技術力を高めたいという方に向いていると言えるでしょう。
また、企画から自社のサービスを育てていくのがWeb系企業の特徴です。
ユーザーの目線に立ち、0からものづくりを行ってみたいという方にはWeb系企業がおすすめですね。
まとめ
今回の記事では「SIer」と「Web系企業」について、その違いとそれぞれに向いている人の特徴などを詳しくご紹介しました。
開発スタイルから担当業務、今後のキャリアまでそれぞれに違いがあります。
この記事で自分がどちらに向いているか分かったという方は、転職など、自身のキャリアパスの参考にしてみてくださいね。